無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
ブチッ、と勢いよく切られた通話。
スマホを耳から外すと、律くんは申し訳なそうに眉を下げる。
「ごめん、由良から。未桜なんか言いかけた?」
「っううん、ぜんぜん......!なにも言ってない、よ」
たぶん、遮られてなかったら伝えてた。───好き、って
あまりにも単純な自分に驚いて、恥ずかしくなる。
悠莉に言われたからって、さすがにタイミング違うでしょ......!
もっと、ちゃんと考えて.....だよね。
「.....あの、律くん。私そろそろ帰るね。律くんも由良くんに呼ばれてるんでしょ?」
「あー....。抜け出してきたから。そろそろ戻れって」
「そ、そうなんだ.....」
いたたまれなくて、顔をそらしながら律くんから距離を取る。
「じゃあ、ばいばい」
ひらひらと手を振って、律くんから背中を向ける───タイミングで、ぎゅっと腕を掴まれた。
「へ、ぇ......っ、ちょっ律くん!?」
そのまま軽く抱き寄せられて、ぽんぽんと背中を撫でられる。