無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
「誰かから視線感じるとか、待ち伏せされてる.....とか、そーゆーのあったらぜったい俺に言って」
''俺に''を強調して、放たれた言葉。
びっくりして、一瞬黙ってしまう。
視線、待ち伏せ......?
縁のないことのはずなのに、胸がザワッとするのはなぜだろうか。
「なんで、急にそんなこと.....」
揺れる瞳でじっと見上げると、律くんは安心させるように頭を撫でてくれる。
「桜蕾カンケイで、ないとはいえねーだろ?」
「そ.....れはそうだけど、」
「俺たちも見張ってるし、心配ない思うけど。万が一、な」
......なんだろう、やっぱり変だ。
言葉に言い表せない違和感が、胸の内でくすぶっている。
なにか隠してる、そう感じて。
「ねえ、律くん.....」
漠然とした不安に襲われて、語尾が震える。
そんな私に気づいてか、律くんはやさしく目を細める。
「未桜にだけは手、出させねーから」
「っ、うん.....」
あまりにも瞳が真剣で、これ以上は追及できなかったけど。
───ちいさな不安が、生まれた瞬間だった