無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
◇つかの間の休息
◇
───はあ、と今日何回目かのため息をつく
いつもなら和やかな雰囲気のはずのランチタイムなのだけれど。
裏庭のベンチ、隣に座る悠莉に心配そうな瞳を向けられている私。
「もー、未桜。ため息つくと幸せ逃げるよ~?」
「.....うん」
「そんなションボリした顔、桜雅くん悲しむよ....って、その彼が原因なんだけどね」
靴箱で、律くんと話をしたその日以来───律くんは学校に来ていない
家庭の事情、と朝のHRで担任の報告を受けること、今日で4日目。
「今週1日も来てないもんなぁ。家庭の用事、そんなに忙しいのかな」
「.....うん」
声が沈んでいることが、自分でも分かる。
ずっと、朝から胸がざわざわする。
変な違和感が、奥につっかかっている感覚。
『誰かから視線感じるとか、待ち伏せされてる.....とか、そーゆーのあったらぜったい俺に言って』
律くんの言葉に驚いたのは、私が桜蕾の一員だという自覚に欠けていたから。