無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
◇忍び寄る暗幕
◇
パンケーキを食べ終えお店を出ると、夏っぽい湿った風が頬を掠める。
もう9月なのに、まだまだ暑いなあ.....。
ぱたぱたと手で煽いながら腕時計を確認すれば、時刻は6時10分。
今日はお父さんもお母さんも帰りが遅いから、夜ご飯を用意しないといけない。
「じゃあ、ばいば.....っわぁ!?」
冷蔵庫になに残ってたかなあ、なんて考えながら、帰ろうと背を向けると。
ぐいっ、と後ろから腕を引っ張られて、身体が傾く。
「え、冬哉くん....?」
「家まで送る、つったよな?」
なに勝手に帰ろうとしてんだよ、と冬哉くんは軽く舌打ちをひとつ。
....う、さっきまでパンケーキのおかげで冬哉くんご機嫌だったのに。
「....はい、おねがいします」
わざわざ学校にまで来てくれたくらいだ。
律くんのあの言葉といい、冬哉くんたちの行動といい、やっぱり''なにか''あるんんだろう。
律くんたちが私にそれを言わないのは、理由があってのことだと思う.....から。