無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
「と、冬哉くんケガ.....、は大丈夫そうだね」
「あほ。こんなザコ相手にケガなんか負わされねーよ」
「....あはは、そっか」
こんなに狭い路地裏で、しかも咄嗟に、あんな蹴りを入れられる冬哉くんだ。
ぼろぼろなこのひとと比べて、ひとつも乱れていない様子の彼は、ため息をつきながらうざったそうに前髪をかきあげている。
「.....って、このひとどうするの、?」
「あー.....放置?」
なんて言いながら、そっと男のひとを覗き込むと、はっと意識を覚ます。
咄嗟に起き上がろうとしているけど、そんな力も残っていないらしい。
「意識戻ったんなら、自分でどーにでもなるだろ。帰んぞ」
「......、う、うん」
まあ、このひとも挑んだ相手が悪かった.....ということで。
そうして、背を向けようとしたその時。
「───.....っは、はは」
顔だけを上げて、くつくつと喉を鳴らして笑う男。