無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる



────ぞくっとした


開かれた目は虚ろで、力ない表情なのに。


にやりと歪んだ口元が、あまりにも不気味。



「''あのひと''に目をつけられているお前は───逃げられない」



不気味に上げられた口角、虚ろな瞳は.....、私に向けられていた。



「外堀がどう足掻いたって、もう手遅れなんだよ」


''あのひと ''って、なに.....?


桜蕾───律くんに仕返しをするために、私と冬哉くんを狙ったんじゃないの?



「蒼唯未桜、おまえは必ず........っかはっ、」


「っ、冬哉くん.....!」


大きく振り上げられたかと思うと──強力な踏み蹴りを繰り出した冬哉くん


その結果、完全に意識を失ったらしい男のひとは、白目を剥いて倒れている。



「とうや、くん.....?」


名前を呼んでも、反応がない。


そっと後ろから覗き込んで、私は目を見開いた。


「.......くそ」



唇を噛んで、目を細めて、右手をぎゅっと握っている。



────焦っている、と思った

< 298 / 430 >

この作品をシェア

pagetop