無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
────ぞくっとした
開かれた目は虚ろで、力ない表情なのに。
にやりと歪んだ口元が、あまりにも不気味。
「''あのひと''に目をつけられているお前は───逃げられない」
不気味に上げられた口角、虚ろな瞳は.....、私に向けられていた。
「外堀がどう足掻いたって、もう手遅れなんだよ」
''あのひと ''って、なに.....?
桜蕾───律くんに仕返しをするために、私と冬哉くんを狙ったんじゃないの?
「蒼唯未桜、おまえは必ず........っかはっ、」
「っ、冬哉くん.....!」
大きく振り上げられたかと思うと──強力な踏み蹴りを繰り出した冬哉くん
その結果、完全に意識を失ったらしい男のひとは、白目を剥いて倒れている。
「とうや、くん.....?」
名前を呼んでも、反応がない。
そっと後ろから覗き込んで、私は目を見開いた。
「.......くそ」
唇を噛んで、目を細めて、右手をぎゅっと握っている。
────焦っている、と思った