無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
「い゛っ」
「おまえは未桜の半径1メートルに存在すんな」
「ほんっと横暴~~」
変わらないやり取りに、くすくすと笑っていると。
「みお」
手首をぐいっと引かれて、律くんと向き合うような形になる。
視線が絡んで、ほんのすこし見つめ合うと。
律くんは身を屈んで、私の耳元に唇を近づけた。
「ごめん」
至近距離で感じる低音にドキッとしたのもつかの間。
「なんで、律くんが謝るの....、」
「おまえに余計な心配かけたくなくて、なんにも言わなかったから」
「っ、それは.....!」
それは、律くんが謝ることじゃないのに。
「.....狙われてる、なんて。言ったら未桜がどういう反応するか、とか。そーいうの考えたら、怖くなった」
ほんとダセーな、ひとりごとのように律くんが言う。
律くんは、ださくない。
やさしすぎるだけだ。
そうわかってほしくて、静かに目を伏せる律くんの裾をぎゅっと掴んで、ふるふると首を振る。
自分を責めるみたいな言葉は、ぜったいにかけてほしくない。