無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
ピントも合ってないし、全体的にぶれているから、多分遠くから撮られたものだろう。
「女のコ盗撮してネットにあげるとか、ほんっとクズ。しかもみーちゃん。制裁モノだよねコレ」
「鍵アカだからそこまで拡散されてないんだけどさ~、やっぱりSNSってこわいわあ」
駿くんの言葉に、ああ、と納得する。
「襲ってきたひと、これ見て.....」
私の言葉に、冬哉くんはこくりと頷いた。
「ほんと、みおちゃん狙うとか怖いもの知らず。見つかったら消されんのに」
「は、当たり前。即消去に決まってんだろ」
「しょ、消去.....?」
どうやって、とは聞けなかった。
静かに目を細めて、真顔でそう告げる律くは、本気だったから。
「このアカウントも、羅灰のひとのもの.....なんだよね」
「そう。侵入してみたら、ただの下っぱのやつのでさ。ちょーっと詳しく調べてみたら────そいつ。指示、されたらしいんだよね」
湊くんが、カタカタとキーを打つ。
エンターキーと同時に、再生される動画らしきもの。
「コレ、羅灰の溜まり場の近くの防犯カメラ。.....に映ってた、最近出入りしてる車」