無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる



「未桜?」


「りつ、く.....っ、私、知ってるかもしれない」


ズキ、と鈍い痛みで脳を揺さぶられる感覚。


思い出そうとすればするほど、遠のいていく。


私は、なにを知ってるの.....?


どこで、なにを見たの?


カタカタと指先が震えて、冷たくなっていく。


ぎゅうっと両手を重ねても、熱は生まれない。


こわい


狙われていることも、その理由がわからないことも、怖い。


なによりも、解けない恐怖に支配されている自分のこころが、怖い。



「.....大丈夫」


「っ、りつく....。ごめんね、わたし....っ」


震える両手が、手のひらに包まれた。


やさしく、やさしく指先で触れて、触れたところから、温かい熱が熔けていく。


誰よりも、なによりも、安心をくれるひと。



「おまえは強いから」


こんな私を、''強い''と言ってくれるひと。


< 315 / 430 >

この作品をシェア

pagetop