無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
「未桜?」
「りつ、く.....っ、私、知ってるかもしれない」
ズキ、と鈍い痛みで脳を揺さぶられる感覚。
思い出そうとすればするほど、遠のいていく。
私は、なにを知ってるの.....?
どこで、なにを見たの?
カタカタと指先が震えて、冷たくなっていく。
ぎゅうっと両手を重ねても、熱は生まれない。
こわい
狙われていることも、その理由がわからないことも、怖い。
なによりも、解けない恐怖に支配されている自分のこころが、怖い。
「.....大丈夫」
「っ、りつく....。ごめんね、わたし....っ」
震える両手が、手のひらに包まれた。
やさしく、やさしく指先で触れて、触れたところから、温かい熱が熔けていく。
誰よりも、なによりも、安心をくれるひと。
「おまえは強いから」
こんな私を、''強い''と言ってくれるひと。