無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる



役に立ちたい、このひとたちの。


私を守ってくれる、巻き込んでしまってもなお、変わらず傍にいてくれる彼らに、すこしでも返すことが出来るなら。


私のやるべきことは、ひとつ。



「....うん。私、大丈夫だ」



心配そうに眉を寄せるみんなに、大丈夫だよという意味をこめて、笑顔をつくる。


不規則な鼓動を落ち着かせるように、ふう、と深呼吸をして、そっと目を閉じた。


覚えてないということは、私がその出来事を忘れているということ。


それは時間からのものなのか、もしくは。


無理やり、閉じ込めているだけなのか。


......なんとなく、後者なんだろうな、と直感で感じた。


「.....香山って、鎖骨にタトゥーのアトあるかもしれない。榊組は全員鎖骨に竜のタトゥー彫るらしいから」


由良くんは思い出したようにスマホを操作しながら、スマホを私に差し出す。


榊組関連のひとだろう。


傷んだ金髪に、大量に開けられたピアス。


死んだような目をしたその男の鎖骨には、真っ黒な竜らしきもののタトゥーが刻み込まれていた。



「.....っ、ぁ」



─────ドクン、と心臓が派手に音を立てる



< 316 / 430 >

この作品をシェア

pagetop