無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
役に立ちたい、このひとたちの。
私を守ってくれる、巻き込んでしまってもなお、変わらず傍にいてくれる彼らに、すこしでも返すことが出来るなら。
私のやるべきことは、ひとつ。
「....うん。私、大丈夫だ」
心配そうに眉を寄せるみんなに、大丈夫だよという意味をこめて、笑顔をつくる。
不規則な鼓動を落ち着かせるように、ふう、と深呼吸をして、そっと目を閉じた。
覚えてないということは、私がその出来事を忘れているということ。
それは時間からのものなのか、もしくは。
無理やり、閉じ込めているだけなのか。
......なんとなく、後者なんだろうな、と直感で感じた。
「.....香山って、鎖骨にタトゥーのアトあるかもしれない。榊組は全員鎖骨に竜のタトゥー彫るらしいから」
由良くんは思い出したようにスマホを操作しながら、スマホを私に差し出す。
榊組関連のひとだろう。
傷んだ金髪に、大量に開けられたピアス。
死んだような目をしたその男の鎖骨には、真っ黒な竜らしきもののタトゥーが刻み込まれていた。
「.....っ、ぁ」
─────ドクン、と心臓が派手に音を立てる