無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる

◇夢の余韻








廃れた砂場、さびれたすべり台。


誰もいない公園に、ふたりきり。


『───.....い、だ』


骨ばった手が伸ばされる。


光を映さない真っ黒な瞳と、ちいさく歪んだ口元。


『....だれ、』



刻まれた竜が、ぐらりと揺れて─────





「っ、はあ.....っ」


だんどんと開かれる視界は、まだすこしぼやけている。


ゆっくりと身体を起こすと、ひり、と頬の辺りに痺れが走った。


指先でそっと触れれば、冷たい感触のあと、透明な雫がぽろりと落ちていく。


────なんで、私


「泣いてる....の、」



....夢をみていた。


どんな夢かと聞かれても、うまくは答えられないけど。


ひどく冷たくて、暗い夢だった。


震える身体を抱きしめて、ふう、と息を吐く。


夢にでてきた公園は、見覚えのあるものだった。


そこにいた、女の子....と、男のひと。


最後に映った、黒い竜────は



「未桜。入ってもいい?」


「っ、う、うん」


トントン、というノック音がして、あわてて涙をぬぐった。


起こしいた身体を寝る体勢に戻して、布団をかぶる。


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