無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
今までの経験でなんとなくそうなんなんだろうな、と思った。
その考えに至った瞬間、無意識に通話ボタンに手が伸びていた。
プルルルル、と無機質な音が続いて、我に返ったのは10コールほどたった時。
....病人相手に電話とか、ばがだろ俺。
未桜が心配な気持ちとは別に、会えないなら声だけでも聴きたい、なんて自分本意すぎる理由。
一旦頭を冷やそうと、テーブルに積んである大量の書物を手に取る。
適当にペラペラとページをめくっていると....着信を知らせるバイブ音。
「っ、みお?」
【callling 湊】
「....あー、ダサ」
ふ、と 思わず笑みがこぼれる。
半分投げやりな気持ちで、応答ボタンをスライドさせた。
「....っもしもし!律....!」
「ん、なに」
どーでもいい内容なら即切断してやろうと思ったが、声からしてそうでもないらしい。
「みーちゃんのことで、」
「....未桜のこと?」