無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
story5
◇囚われたモノ
♢
眠れない夜が続いて、今日で何日目だろう。
睡眠を取れていないから、風邪だって完治していない。
────あの日から、毎日同じ夢をみる
最初は全体的にぼんやりとしていたものが、だんだんと輪郭を捉えてくるように感じるのは、たぶん気のせいじゃない。
最後は同じ、伸ばされた腕が触れるほんの一瞬前、黒い竜が揺れて....、目が覚める。
「.....っ、ぁ」
ズキッ、と脳を揺さぶられるような感覚にぎゅっと唇を噛む。
.....目が覚めたあと、必ずと言っていいほど鈍い頭痛に襲われる。
すこししたら治まるけれど、これが結構キツくて、朝は当分ベッドから動けない。
微熱だから学校にも行けていないし、最近はずっと家にいる状態で、家族にも悠莉にも.....律くんたち、にも心配をかけてしまっている。
毎日、いろいろなひとから体調を心配するメッセージが届くことが、ありがたい反面、やっぱり申し訳なくて、すこし苦しい。
【今日は学校来れそう?】
10分ほど前に届いた悠莉からのメッセージに、ごめんね、とこころのなかで呟きながら、指をスライドさせた。
【ごめんね、なかなか熱下がらなくて。今日もお休みするね】