無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
もし、このことがお父さんたちにバレてしまったら、また心配をかけてしまう。
私が香山のことを忘れていることを知っていても、思い出すことを促すこともしないで、ずっと待っていてくれたふたり。
これ以上心配と迷惑はかけたくない、....けど。
「ごめんね.....っ。お父さん、お母さん」
─────もう、解放されたいの
◇
翌日の、午後3時。
あの公園───''若草公園''というさびれたプレートを思い出して調べてみたら、ほんとうに存在するのだとわかった。
....あの夢、私の、忘れていること。
なるべく目立たない服装で、最低限の荷物だけを持って家を出る。
熱は下がらないままだけど、朝に薬を飲んでおいたから、多分平気だろう。
「家から歩いて30分って....、けっこうかかるな」
外出するの、一週間ぶり....くらいかな
ふわあ、と冷たさを纏った風が後ろから吹いてくる。
以前は生ぬるいものだったのに、秋を感じさせる風に、すこし驚いた。