無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる



もし、このことがお父さんたちにバレてしまったら、また心配をかけてしまう。


私が香山のことを忘れていることを知っていても、思い出すことを促すこともしないで、ずっと待っていてくれたふたり。


これ以上心配と迷惑はかけたくない、....けど。



「ごめんね.....っ。お父さん、お母さん」



─────もう、解放されたいの







翌日の、午後3時。


あの公園───''若草公園''というさびれたプレートを思い出して調べてみたら、ほんとうに存在するのだとわかった。


....あの夢、私の、忘れていること。


なるべく目立たない服装で、最低限の荷物だけを持って家を出る。


熱は下がらないままだけど、朝に薬を飲んでおいたから、多分平気だろう。


「家から歩いて30分って....、けっこうかかるな」


外出するの、一週間ぶり....くらいかな

ふわあ、と冷たさを纏った風が後ろから吹いてくる。


以前は生ぬるいものだったのに、秋を感じさせる風に、すこし驚いた。



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