無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる



────そして、歩くこと30分


「.....、ほんとに、あったんだ」


昨日調べていたときも思ったけど、夢のなかのことは所詮夢だから、あまり現実味がなかった。


普通、夢は見たら忘れてしまうもので、記憶もすぐに消えてしまうはずなのに、こんなにも鮮明に覚えている。


さびれたプレートも、滑り台も砂場も、ぜんぶが夢で見た風景と同じだ。


あまり綺麗じゃない公園だからか、ひとの気配も全くない。


ゆっくりと、足を踏み入れた。


昨日雨が降ったのか、地面の砂は水で湿っていて、ぐちゃ、と音が鳴る。


すると、泥が跳ねたのかスニーカーの端がすこし汚れてしまった。


靴紐も緩んでしほどけてしまっていたので、屈んで直そうとした──────そのとき




『きみ、どうしたの?』



遠くの方から、声が聞こえた。


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