無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
『ねえ、すこしだけ俺とお話ししてくれない?』
『っ、お兄さんみおとお話ししてくれるの.....?』
あまり友達がいなかった私にとって、お兄さんの提案はとても嬉しいもので。
ぱあっと顔を輝かせた私に、お兄さんは笑顔で頷いた。
『あのね、みおね....』
近くにあったベンチに腰かけて、色々な話をした。
私の話に、やさしく耳を傾けてくれるお兄さん。
『さっきからみおが話してばっかりだよ。お兄さんは?』
『うーん....、俺はひとりぼっちだからなあ。きみに話すようなことがないんだよ』
『えっ、ひとりぼっち....?お父さんとお母さんは?』
『いるけど、いないのと同じだよ。...俺は嫌われものだから』
そう言って、悲しそうな顔をするお兄さん。
''いるけどいない''という言葉に首を傾げながらも、嫌われもの、というお兄さんに私まで悲しくなった。
すこしでもお兄さんに元気になって欲しくて、私は精一杯の笑顔をつくって、言ったんだ。
『みおは、お兄さんのこと嫌いなんかじゃないよ。やさしいお兄さん、すきだよ』