無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる



『なんで....っ、』


『なんで?.....はは、それはおまえのオトーサンに聞いてみろ。

....アイツのせいで、ぜんぶ失った』


低い、低い声だった。


冷えきった瞳に、一瞬影が落とされる。


お父さんに対する憎しみ、怒り───それらを、このひとは私に向けているんだ


幼いながらに、それだけは気づくことができた。



『だから、俺にはおまえを傷つける権利がある』


『っ、ぅ....っ』


息が、止まった


あまりに突然のことで、頭が回らない。


くるしい、という感情に、ぜんぶ覆われてしまう。

状況を理解できたのは、5秒くらい経った頃。


───首が、絞まってるんだ


正しくいえば、''首を絞められている''だけど。


じわじわと這い上がる恐怖心、くるしい、という気持ちだけが身体を支配する。


身体は宙に浮いているから、抵抗のしようがなかった。


『安心しろ、殺しはしない。殺したら、おまえの利用価値消えるから』



なにを言われているのか、わからない。


だんだんと、頭がぼうっとしてきて、身体から力が抜けていく。


────もうだめだ、と目を瞑った瞬間



< 343 / 430 >

この作品をシェア

pagetop