無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
『なんで....っ、』
『なんで?.....はは、それはおまえのオトーサンに聞いてみろ。
....アイツのせいで、ぜんぶ失った』
低い、低い声だった。
冷えきった瞳に、一瞬影が落とされる。
お父さんに対する憎しみ、怒り───それらを、このひとは私に向けているんだ
幼いながらに、それだけは気づくことができた。
『だから、俺にはおまえを傷つける権利がある』
『っ、ぅ....っ』
息が、止まった
あまりに突然のことで、頭が回らない。
くるしい、という感情に、ぜんぶ覆われてしまう。
状況を理解できたのは、5秒くらい経った頃。
───首が、絞まってるんだ
正しくいえば、''首を絞められている''だけど。
じわじわと這い上がる恐怖心、くるしい、という気持ちだけが身体を支配する。
身体は宙に浮いているから、抵抗のしようがなかった。
『安心しろ、殺しはしない。殺したら、おまえの利用価値消えるから』
なにを言われているのか、わからない。
だんだんと、頭がぼうっとしてきて、身体から力が抜けていく。
────もうだめだ、と目を瞑った瞬間