無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる



治りかけ、というかほとんど風邪を引いたままの状態で歩き回ったからか、風が悪化してしまった、のかもしれない。


額に触れれば、やっぱり熱を持っている。


猛烈なダルさに襲われて、ふらりとバランスが崩れる。


とりあえず、座れるところ....、と思い周りを見渡すけど、昔あったベンチは取り壊されてしまったのか、座れそうなところはない。


「(とりあえず、公園....、でないと)」


ふらふらとした足取りで、公園の外へと移動する。


律くんたちに連絡を取ろうとスマホを取り出して、それで。


「え....っ、」



いつのまにか、公園の前に停まっていた黒塗りのワンボックスカー。


突然扉が開いて、車と同じく真っ黒な格好をしたひとたちが出てきて。



驚く暇もなく、私は車のなかへと引きずり込まれていた。


車のシートに雑に投げ捨てられて、抵抗しようと顔を上げると、口に布のようなものを当てられる。


すう、となんだかむせ返るような香りが身体を巡ったら、頭がぼんやりとしてきて。



そのまま、意識を失ってしまった。



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