無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
それが伝わったのか、男のひとは屈みこんだ体勢のまま、膝に肩肘をついて。
「オレは中村壮大。羅灰のアタマやってまーす」
若干間延びした声で、髪で隠れていた左耳を見せつけるみたいにずいっと顔を近づいてくる。
前に襲ってきた羅灰のひとは、エメラルドとシルバーのピアスをしていた。
中村というらしいこのひとが付けているのは、エメラルドとゴールドのピアス。
.....アタマだから、特別?
至近距離で絡む瞳、このひとの瞳は濁っているように感じるのは、きっと気のせいじゃない。
「持ってたスマホ抜いといたから。残念だけど桜雅たちは来ね~よ」
「っ、勝手に....!」
「はは、おまえがマヌケなのがいけねーんろ?」
このひと、さっきから''マヌケ''ばっかり。
地味にイラッとくるなあ、なんてこころのなかで文句を言っていると。
前の方から視線を感じて、渋々顔を上げる。
「.....、なんですか?」
「いや、アンタみたいな地味なオンナどーして桜雅が選んだのかなあって」
「....そんなの知りませんよ」
「よっぽど身体の相性いいのかよ?」
「....、ノーコメントで」