無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
....ということで、行くと決めた前日の夜、私は律くんに連絡を取った。
「でて、くれるかな....」
プルルルル、という呼び出し音がこんなにも緊張するものだって、知らなかった。
そして、ブチッとコール音が途切れる。
「....もしもし、未桜?」
「っ、はい....。みお、です」
いつも会うときとは違う、すこし低くて掠れた律くんの声に、ドキッと反応する心臓。
「体調平気?ずっと学校休んでるって岬に聞いた」
「あ、うんっ。大丈夫....だよ」
ほんとうはあまり良くないけど、今それを言ったらまた心配をかけてしまうから。
「....律くん」
ふう、と深呼吸をして、伝えたいことを頭のなかで整理する。
....隠し事は、もうやめる。
「あのね、私────」
お母さんとお父さんの話を聞いてしまったこと、毎日同じ夢を見ること。
....お父さんと話ができていないこと、思い出すことが怖いこと。
すべて話し終わって、お互い無言になる。
....幻滅、された....?