無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
「....おまえ、ずる」
ため息と共にこぼれた、いつも通りのやさしい低音に、自然と笑みが浮かぶ。
「前に律くんが、''未桜も桜蕾''って言ってくれて、自分の存在を受け入れてくれたみたいで、すごく嬉しかったんだよ。
それからずっと守ってくれて、傍にいてくれて、ありがとう.....っ」
ずっと伝えかった感謝と、それから....。
「私も桜蕾、だから。私にも役割、ください」
震える声でお願いを口にする私に、律くんは、未桜は、とちいさな声で呟いて。
「....未桜は、俺の隣にいるだけでいいんだよ」
「え、っと。律くん、ちょっと聞こえない....!」
「なんでもねーよ。....ばか未桜」
「ば、ばか....!?急になんでっ?」
「ほんっとばかであほ、救いようのないお人好し」
「悪口!ぜんぶ悪口だよ....!?」
なんて言い合いをしていると、りつー、と間延びした声が電話の向こうから聞こえて。