無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
あたたかい胸のなか、安心する、心地いい体温に瞼が下がっていく。
律くんには助けられてばかりだなあ....。
初めて会った日も、屋上で転びそうになったところを助けてもらって、それから、今日までなんかいも、ずっと。
ぱたり、意識を失うほんの一瞬前、頭に浮かんできたのは─────
『未桜』
目尻を下げてきゅっと皺をつくって、すこしだけ口角をあげて。
やさしく笑う、きみの姿。
◇
「えっ、みーちゃんどうしたの....!?」
「意識ないんじゃない?っ、救急車──「.....寝てる」
え、とこの場の全員の言葉が重なった。
「ね、てる....って、ほんとに?」
「....ん。スースー寝息たててる。微熱っぽいけど、これなら大丈夫だろ」
「マジびっくりした....って、みおちゃん体調は万全だよ、って言ってなかった?」
「....風邪引いてんじゃねーかよ」
「ずっと我慢してた、とか。....ま、未桜ちゃんってそういう子か」
「はあ~~もっとワガママになっていいのに。....ね、律」
「....ばか未桜の説教は、''あのひと''との約束を果たしてから。....じっくりな」