無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
それがどうしたの?....と、再び首を傾げていると、あることに気づく。
「ってことは、お父さんってA&Iに勤めてたんだ....」
「....、ああ」
すごく有名な企業なのに、お父さんはなんで隠してたんだろうか。
よくテレビで、''学生の就活希望ランキング''でも上位に入るくらい、世間からも実績と信頼のある会社なのに。
『大人になったら教えてやるよ』というお父さんの言葉の意味も、よくわからない。
すると、ずっと視線が合わなかったお父さんの瞳にぶつかって、なんとなく考えるのをやめて、じっと瞳を重ねてみたら。
「───A&Iコーポレーション社長、それが俺の役職だよ」
「.....え、」
びしり、と身体が硬直する。
紡がれた言葉が、頭のなかでスローモーションに聞こえて、それをなぞるみたいに繰り返してみる。
A&I、社長、役職.....?
「A&Iの社長、ってだれ.....、え、お父さん?」
ぽろっと無意識にこぼれたセリフに、ふたりが深く頷くから、だんだんと状況が掴めてくる。