無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
....と、再び5秒ほど沈黙。
「....ある」
「っ、なに....?」
食い気味な私に、律くんはくすり、ちいさく笑うと。
「────未桜から、俺に会いに来て」
どことなく甘い声で、そっと囁いた。
ドクン、心臓が浮いて、じわりと熱が宿る。
「そ、そんなのでいいの....っ?」
「いつも俺からだろ?未桜から来たことねえし」
「あ、そういえば....?」
夏休みに倉庫に呼んでくれたのも、放課後下駄箱に来てくれたのも....、ぜんぶ律くんから、だ。
そんな簡単なことでいいの?....って思うけど、律くんがそう言うなら、私はそれに応えるだけ。
「わかった....!私から律くんのとこ、行く」
「....ん。待ってる」
────プツリ
''通話終了''の文字をぼうっと見つめる。
『いつか未桜が、桜雅君に言える日がくることを願ってるからね』
『えっ?律くんに、だいすき.....?』
ぐるぐると頭を回る、あの日の会話。
────だいすき、かあ....
それから、今までの眠れなかった夜がウソみたいに、やさしい夢に落ちた。