無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
「その格好で湊とかそこら辺と会った?」
「えっと....?湊くんたちには会ってないけど、翔くんに会ったよ」
私の言葉に、わかりやすく顔を歪めた律くん。
なんだろう、すこし不機嫌....?
「あの、でもね、私って気づかれなかったんだよ?翔くんもほかのひとたちも、誰にも覚えられてなくてちょっとショックだなあ」
場を和ませようと、あはは~っと愛想笑いを浮かべると、ほっと表情を緩めた律くん。
「俺以外に知られてないなら、いい」
「....?うん」
「もうちょっと一人占めさせて」
ぽん、と頭をやさしく撫でられて、まあいっか、なんて....、単純だなあ。
巻いている毛先を緩くすかれて、耳元にかけられる。
「なんかふわっとしてる」
「悠莉が巻いてくれたの。いつもストレートだから新鮮だなあ」
ふふっと笑みをこぼすと、私の耳元にかけた髪をすくいとって指先にくるくると絡める律くん。
その横顔が、とてもやさしい表情で。
カンチガイ....かもしれないけど、瞳の色が、愛しいものに触れるときみたいに、やさしい温度をしているから。