無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
「(も、むり.....っ)」
息がくるしいからか、じわ、と目に涙がにじんで、身体も熱くて、ゲンカイだった。
ぽこぽこと胸板を叩いて合図を送れば、ゆっくりと離れていく唇。
はあ、はあ...と肩で息をする私に、律くんは細めていた瞳を解いて、片方の口角をあげて。
「仕返しだよ、ばか」
余裕そうに笑う律くんを横目で睨むと、くしゃりと頭を撫でられる。
『....かわいい』
もしかして、かわいいって言ったのがだめだったの....?
「律くんだってさっき私に....」
「俺はいいんだよ。未桜はだめ」
「り、理不尽....!」
むっと頬を膨らませると、律くんがふは、と吹き出して。
手のひらをやさしく髪にすべらせるから、対抗心もしぼんでしまう。
すこしの沈黙が訪れて、そういえば、と気になっていたことを思い出す。
「律くん、あの....聞きたいことがあって」
「なに?」
「....あの、ね。律くんって、いつから私のことす─────「りつ~っっ!」
''好きでいてくれたの''
遮ったのは、パタパタという足音のあとに、勢いよく開かれた部屋のドア。