無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
きゅうにディすられるの、なんで...!
「あと、おまえ地味じゃねーから」
「 100ぱーせんと地味だよ....」
「格好が、だろ。未桜自身のこと地味って言うのむかつくから、素朴って言えよ」
「な、なんで桜雅くんが怒るの....」
これは、励まし....とはまた違うような。
切れ長の瞳がさらに細められる。なかなかの迫力が....。
「....可愛いのに、なんでわかんねーの」
「.....?きこえないです、桜雅くん」
「別に知ってんの俺だけでいい。.....けど、未桜が自分で自分卑下するの、ふつーにいやだし、むかつく」
むかつく、なんて言葉とは裏腹に、あまりにもやさしく目尻をほどく桜雅くんが、未桜、ってやわらかい声をつくる。
「綺麗だよ、おまえ」
「.....っ、....きれい?」
全く予想していなかった言葉に、ゆっくりと顔を上げた。
すると、見惚れてしまうほどの綺麗な瞳を細めて、やさしく微笑む桜雅くんが視界いっぱいに広がるから。
.....ほんとうに唐突に、泣いてしまいそうだ、って思った。
「俺が知ってるおまえは、ばかみたいにやさしくて、お人好しで...、まっしろ。
それを地味、とか、安っぽい言葉でまとめんな」
目尻をほそめて、やわらかい笑顔。
あまりにも、律くんの表情がやさしいから。
私よりも、私のことを大切にしてくれているんじゃないか、って思ってしまうくらい、彼のすべてが温かくて、じんわりと目の縁が熱くなっていく。
「なんで....っ、なんで、そんなにやさしく...?」
わからないよ桜雅くん。
桜雅くんは私を''やさしい''というけど、そんなに感謝をされることをした覚えもない。
逆に、迷惑ばかりかけてるのに...。
潤んだ瞳でじっと見上げながら問いかけたら、桜雅くんは、さぞ当たり前のことを答えるみたいに。
「未桜だからだよ」
とびきりやさしい声で、囁いた。