無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
....でも、執事さんの言っていることが本当なら。
少しでも、律くんと仲良くなれたのなら。
そう考えると、頬が自然に緩んでしまう。
....なんで、こんなに喜んでるの?
自分でもよく分からなくなってしまい、ふと隣に視線を移すと。
「っ....、」
月明かりが、律くんを照らす。
その姿が、あまりにもキレイで.....、見惚れてしまう。
月の光に、律くんの真っ黒な髪はよく映えいて、その綺麗な横顔も、まるで────
王子様みたい、なんて。
「どした....?」
私の視線に気づいた律くんが、不思議そうにこちらを見つめる。
「な、ななんでもない....っ!」
なに、考えてるの私.....っ?
自分の思考回路が恥ずかしくて、ぶわっと頬に熱が集まる。
「焦りすぎな」
「うぅ、ちょっといまはこっち見ないで....」
覗き込んでくる律くんに、顔を手のひらで覆いながら、視線をずらす。
「.....ほんと、変なやつ」
────指の隙間から見えた、律くんの柔らかい笑顔に
また釘づけになってしまったのは、私だけの秘密。