晴れ所により雷雨、所により告白【続編完結】
店に入り、左奥の席を目指す。
こちら向きに座っていた雪菜が、すぐに気づいて手を振る。
私も手を振り返してから気づいた。
雪菜の向かいに、見覚えのある後ろ姿。
手を振る雪菜につられて振り返った彼は、長年見慣れた私が初めて見るほど狼狽えている。
「あ…きら… なんで… 」
雪菜からは振り返った智也の狼狽ぶりは見えないようで、全く気にすることなく説明する。
「晶には、ちゃんと紹介したくて。
智也にそう言っても、いっつも
『同期に紹介とか恥ずかしいからいいよ』
って逃げようとするから、内緒で
セッティングしちゃった。」
そう言って笑う雪菜は、とっても幸せそうで、自分が妊娠した時に二股状態だったことには全然気づいてなさそう。
雪菜は、スッと席を立って智也の隣に移動し、私の席を空けてくれた。
「晶、今日のおすすめコース料理を注文して
おいたけど、よかった?」
「私はいいけど、雪菜は?
悪阻とか大丈夫?」
「悪阻はそんなにひどくないの。
ま、あんまり食べられないんだけど、
他の妊婦さんみたいに、隣の人の食事の
匂いで吐くほどではないから。」
そう言って雪菜はいつもの笑顔を見せる。
智也は、隣で明らかに引きつった笑顔。
そりゃそうだよね。
この席、私の出方一つで、ものすごい修羅場になりかねないもん。
「智也は、料理3つ注文されて、私が
来ることに気づかなかったの?」
そんなの間抜けにも程がある。
「いや、だって… 」
「違うの。
私、そんなに食べられないから、コース
2つとサラダしか頼んでないの。
あ、ワインはボトルで頼んであるから、
晶も飲んでね。
私はグレープフルーツジュースだから。」
そういうことか。
にしても、妊婦の奥さんがコース頼むわけないことくらい、普通気づくでしょ。
こちら向きに座っていた雪菜が、すぐに気づいて手を振る。
私も手を振り返してから気づいた。
雪菜の向かいに、見覚えのある後ろ姿。
手を振る雪菜につられて振り返った彼は、長年見慣れた私が初めて見るほど狼狽えている。
「あ…きら… なんで… 」
雪菜からは振り返った智也の狼狽ぶりは見えないようで、全く気にすることなく説明する。
「晶には、ちゃんと紹介したくて。
智也にそう言っても、いっつも
『同期に紹介とか恥ずかしいからいいよ』
って逃げようとするから、内緒で
セッティングしちゃった。」
そう言って笑う雪菜は、とっても幸せそうで、自分が妊娠した時に二股状態だったことには全然気づいてなさそう。
雪菜は、スッと席を立って智也の隣に移動し、私の席を空けてくれた。
「晶、今日のおすすめコース料理を注文して
おいたけど、よかった?」
「私はいいけど、雪菜は?
悪阻とか大丈夫?」
「悪阻はそんなにひどくないの。
ま、あんまり食べられないんだけど、
他の妊婦さんみたいに、隣の人の食事の
匂いで吐くほどではないから。」
そう言って雪菜はいつもの笑顔を見せる。
智也は、隣で明らかに引きつった笑顔。
そりゃそうだよね。
この席、私の出方一つで、ものすごい修羅場になりかねないもん。
「智也は、料理3つ注文されて、私が
来ることに気づかなかったの?」
そんなの間抜けにも程がある。
「いや、だって… 」
「違うの。
私、そんなに食べられないから、コース
2つとサラダしか頼んでないの。
あ、ワインはボトルで頼んであるから、
晶も飲んでね。
私はグレープフルーツジュースだから。」
そういうことか。
にしても、妊婦の奥さんがコース頼むわけないことくらい、普通気づくでしょ。