晴れ所により雷雨、所により告白【続編完結】
「俺、晶を辞めさせたくなくて、事情をよく
 知らないまま退職願を握り潰したけど、
 ほんとによかった?」

「え?」

何? 今さら?

「あんな三角関係になってるとは思わなくて、
 悪いことしたんじゃないか、辛い思いを
 させてるんじゃないかと思って… 」

「え… 」

なんで?
課長、智也のこと知ってるの?

「あの…
 課長、もしかして、ご存知なんですか?」

誰にも言ってないし、雪菜ですら知らないのに。

「昨日の彼だろ? 晶の元カレ。
 一年くらい前かな?
 デートしてるとこ、偶然見かけて… 」

「嘘… 」

「友達に誘われて、遊園地のハロウィン
 イベントに行った時、二人が腕を組んで
 歩いてるのを見たんだ。
 彼氏は社外の人だって言ってたのに、
 見覚えのある奴だったから、驚いたよ。
 そしたら、昨日、なんか席の組み合わせが
 変だったから、辛い思いをさせちゃったん
 じゃないかと思って… 」

そう言う課長の方が辛そうに見えて…

「気を遣わせてごめんなさい。
 でも、もう大丈夫です。
 吹っ切れました。
 昨日、会ってみて、最低な男なのは、
 よく分かりましたから。
 むしろ、結婚した雪菜が私と同じ目に
 遭うんじゃないかっていう方が心配です。」

私がはっきり答えると、課長はほっとしたように息を吐いた。

「なら、よかった。
 俺、昨日あいつ見た瞬間に、大人気なく
 嫉妬して、牽制するような真似して、
 最低だよな。
 ごめんな。」

え?

「牽制? してたんですか? 昨日?」

「あれ? 気づいてなかった?」

私は黙ってこくこくと頷いた。
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