晴れ所により雷雨、所により告白【続編完結】
 映画は、前宣伝の通り、感動作だった。

だけど、手を繋いでるせいで、バッグからハンカチが出せなくて、私がそっと繋いだ手を解こうとすると、課長にぎゅっと握られてしまった。

見ると、課長は目を潤ませながら、反対の手でハンカチを差し出してくれた。

って、自分も泣いてるのにハンカチを貸すって…

感動に浸るシーンなのに笑みがこぼれる。

私は、そのハンカチを受け取ると、片手でバッグからハンカチを取り出し、逆に課長に貸してあげた。


 私たちは、映画館を出て、カフェでお茶を飲みながら、映画の感想など話し、そのまま課長が家まで送ってくれた。

マンションの前で車を止めた課長は、わざわざ車を降りて、部屋の前までついてきてくれる。

「今日は楽しかったです。
 ありがとうございました。」

私がお礼を言うと、

「こちらこそ。
 この二、三日でますます晶のことが好きに
 なったよ。
 明日から会社だけど、これからも
 よろしくね。」

と爽やかに微笑んだ課長が一歩近づいて来た。

え?

気づけば、私が驚く間もないほど素早く抱きしめられていた。

思ってた以上に逞しい胸に、腕に、(いだ)かれて、私の胸は早鐘のように鳴り響く。

私は、緊張しながらも、そっと課長の背中に腕を回した。

「晶、好きだよ。
 好きすぎて、自分で自分が抑えられなく
 なりそうだよ。」

課長の囁く声が胸に押し当てられた頬に直接響いてくる。

「………嬉しいです。」

私はドキドキしながらも、ようやくそれだけを絞り出すように伝える。

永遠とも思える長い間抱きしめられた後、課長はそっと離れた。

「ずっと一緒にいたいけど…
 また明日な。」

「……はい。
 あの、帰り道、お気をつけて。」

私がそう言うと、課長は優しく微笑んで手を振り帰っていった。


はぁ………

まだドキドキしてる。

感情の起伏が激しすぎて、ついていけない…

どうしよう。

明日から、会社で普通にできるのかな…
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