晴れ所により雷雨、所により告白【続編完結】
すると課長は、落ち着いた声で一喝した。

「お前ら、仕事中にする話じゃないだろ。
 神原もそんなとこで油売ってないで、
 自分の仕事しろよ。」

課長は肯定も否定もしなかったけれど、女子人気の高い課長の噂が広まるには、その日一日で十分だった。



 お昼休み、私が久しぶりに同期が集まる会議室に行くと、お弁当そっちのけで、質問攻めにされた。

「ねぇ、ほんとにあのイケメン課長と
 付き合ってるの?」

「ねぇ、いつから?」

「いいなぁ。」

雪菜を除いて、みんな27歳にして独身。

付き合ってる彼がいる子もいるが、フリーの子も多い。

女子ばかりの席。

恋愛についてのガールズトークに花が咲くのは当然だけど、課長があの態度なら、私が軽々しく肯定するわけにもいかない。

だから……

「ごめん。
 言えないの。
 雪菜も、これ以上は噂を広めないで。」

とお願いした。

「ええ!? なんで?
 不倫じゃないし、隠す必要ないでしょ?」

そう言うのは、総務の沙知(さち)

「そうなんだけど、課長がさっきスルー
 してたから、嫌なのかなと思って… 」

私が答えると、

「いやーん、晶、かわいい!
 つまり、付き合ってるのは本当だけど、
 大好きな課長のために黙ってる
 ってことね?」

と言われてしまった。

今まで智也のことは、『社外にみんなの知らない彼がいる』ってことで通してたから、こんな風に突っ込まれることもなかったのに、急に話題の中心になって、どうしていいか困ってしまう。

「ほら、晶、また真っ赤になってるよ?
 あのクールな晶が、かわいいよね〜」

雪菜もにこにこと突っ込んでくる。

っていうか、私、また赤いの!?

私は慌てて頬を押さえて隠す。
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