晴れ所により雷雨、所により告白【続編完結】
それから、1ヶ月が経った6月中旬の月曜日、同期のグループメールに雪菜(ゆきな)から一件のメッセージが入った。

『昨日、入籍しました。
現在、妊娠3ヶ月です。
臨月まで働くつもりなので、よろしくね。』

同期のみんなから、
『おめでとう!』
『お相手は?』
などと祝福と質問が次々に飛ぶ。

私は、雪菜とは同期で1番仲が良くて、親友だと思っていただけに、結婚が事後報告な事に少なからずショックを受けていた。

なんで、言ってくれなかったんだろう。
付き合っている人がいる事すら、教えてもらってない。

まあ、私も智也との事は言ってないんだから、お互い様かもしれないけど。

智也はずっと、
『社内恋愛だから、周りに気を遣わせない
ために秘密にしよう』
と言っていた。

社内恋愛禁止ではないけれど、社会人になったばかりの私は、
そんなものなのかな
と思い、智也に言われるまま、親友の雪菜にすら言わなかった。

だから、雪菜にも何か言えない事情があったのかもしれない。

そんな事を思い、私は『おめでとう!』とメッセージを入力し、送信ボタンを押そうとした時、1枚の静止画が届いた。

雪菜が男性に寄り添って幸せそうに微笑む写真。

その瞬間にグループ内は騒然となった。

『ウソ〜!?』
『いつから?』
『なんで黙ってたの!?』

なんで?
なんで、雪菜と智也が一緒に笑ってるの?
悪ふざけにしてもタチが悪すぎだよ。

私は、『おめでとう!』のメッセージを送ることなく消去した。
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