晴れ所により雷雨、所により告白【続編完結】
 その後は、課長とテニスをするけれど、私の打ったボールは、毎回あらぬ方向へと飛んでいき、全然ラリーにならない。

「課長、ごめんなさい。
 私相手じゃつまらないですよね?
 私見てるので、椎名さんたちとやってきて
 ください。」

私がそう言うと、

「何言ってんの。
 俺は、テニスより晶との時間が好き
 なんだから、これでいいんだよ。
 それに、晶だって、最初よりかなり上手く
 なったよ。
 後で名コーチにご褒美もらわなきゃな。」

と笑ってくれた。

嬉しい…



 その後、しばらくしてから、ダブルスで試合をすることになった。

「無理!
 絶対、無理です!!」

私はそう言ったんだけど、課長は、

「大丈夫。
 晶にはゆるいサーブしか打たせないから。
 あとは、俺に任せて。」

と言って、試合を受けてしまった。

私はサーブを返すのがやっと。

だけど、それ以外、広いコートの中、課長がほとんどの球を拾ってくれる。

「速水ー!!
 遊びのテニスなのに、本気で変化球打って
 くんなよ!!」

穂積さんから抗議が来たけど、課長は笑って答える。

「お前らも、俺に目掛けてなら
 打っていいぞ。」

課長、すごい…

返球はもちろんだけど、絶対無理だと思うようなコースに来た球も走って追いついて返してく。

なんか… かっこいい…
胸の奥がキュンってする。
このドキドキは、絶対テニスの息切れとは別のドキドキ。

もちろん、きりっと仕事する課長もかっこいいし、ふとした時に見せるかわいい表情も私的にはツボなんだけど、今日の課長は多分誰が見ても惚れるくらいのかっこよさがある。

なんだかもう、ボールよりずっと課長を見ていたい気分。
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