晴れ所により雷雨、所により告白【続編完結】
結婚式
9月の三連休の真ん中の日曜日。
智也と雪菜の結婚式が行われた。
私は同期の女子3人で雪菜に頼まれて披露宴の受付をする。
列席者がいらっしゃるまで、私たちは雑談に花を咲かす。
「今日、社長もいらっしゃるんだね。
なんで?」
席次表を見ながら、涼香が聞いてきた。
確かに、最前列中央のテーブルに開発部長や課長、係長と並んで、1番上席に社長の名前がある。
うちは、超大企業というわけではないけれど、社員数は1000人を超える。
一般的に結婚式で呼ぶのは、せいぜい部長まで。
課長止まりの人も結構多い。
「開発は、社長直属みたいなところがある
からかな?」
芹那が言う。
まぁ、そうなのかもしれない。
その後、わらわらと人が集まり始め、私たちも忙しくなった。
欠席者もなく、全員の受付を終えると、私たちも新婦友人の席に着く。
会場の照明が少し落とされ、新郎新婦がスポットライトを浴びて入場してきた。
白のタキシードの智也に寄り添って幸せそうに微笑む雪菜。
胸元で切り替えられた上品なAラインのドレスはお腹を締め付けないために選ばれたものなのかな。
あんな最低なことをした智也を祝福する気はさらさらなかったけど、雪菜には幸せになってほしいと心から思う。
主賓のスピーチで、智也の上司として開発部長が呼ばれた。
え!?
私たちは、驚いて顔を見合わせる。
主賓って、社長でしょ?
司会者、間違えた?
けれど、何事もなかったかのように、部長が席を立ち、マイクの前で挨拶をする。
智也の仕事ぶりや部署内での仲の良さについて語り、祝辞を述べる。
続いて新婦主賓として社長が呼ばれた。
なんで?
私たちは、わけが分からず、また顔を見合わせる。
社長は、マイクの前に立った。
「智也くん、雪ちゃん、結婚おめでとう。
同期入社の2人の結婚ということで、
ここには我が社の社員が大勢座って
おります。
その彼らに、今日、初めて明かしますが、
実は、雪菜は私の姪です。
社内では特別扱いはしていないので、
知ってる人間はほぼいませんが。
これからも智也くん共々、特別扱いする
ことなく厳しく接してやってください。」
社長のスピーチはまだ続いているが、私たちはそれどころじゃなかった。
お互い顔を見合わせて、話したいことがたくさんあるのに、社長スピーチ中の披露宴会場で口を開くことが出来ず、悶々としていた。
乾杯を終えると、私たちは堰を切ったように話し始める。
「知ってた?」
芹那の問いに、私たちは揃って首を横に振る。
「社長って、子供いなかったよね?
まさか、智也が次期社長だったりする?」
智也と雪菜の結婚式が行われた。
私は同期の女子3人で雪菜に頼まれて披露宴の受付をする。
列席者がいらっしゃるまで、私たちは雑談に花を咲かす。
「今日、社長もいらっしゃるんだね。
なんで?」
席次表を見ながら、涼香が聞いてきた。
確かに、最前列中央のテーブルに開発部長や課長、係長と並んで、1番上席に社長の名前がある。
うちは、超大企業というわけではないけれど、社員数は1000人を超える。
一般的に結婚式で呼ぶのは、せいぜい部長まで。
課長止まりの人も結構多い。
「開発は、社長直属みたいなところがある
からかな?」
芹那が言う。
まぁ、そうなのかもしれない。
その後、わらわらと人が集まり始め、私たちも忙しくなった。
欠席者もなく、全員の受付を終えると、私たちも新婦友人の席に着く。
会場の照明が少し落とされ、新郎新婦がスポットライトを浴びて入場してきた。
白のタキシードの智也に寄り添って幸せそうに微笑む雪菜。
胸元で切り替えられた上品なAラインのドレスはお腹を締め付けないために選ばれたものなのかな。
あんな最低なことをした智也を祝福する気はさらさらなかったけど、雪菜には幸せになってほしいと心から思う。
主賓のスピーチで、智也の上司として開発部長が呼ばれた。
え!?
私たちは、驚いて顔を見合わせる。
主賓って、社長でしょ?
司会者、間違えた?
けれど、何事もなかったかのように、部長が席を立ち、マイクの前で挨拶をする。
智也の仕事ぶりや部署内での仲の良さについて語り、祝辞を述べる。
続いて新婦主賓として社長が呼ばれた。
なんで?
私たちは、わけが分からず、また顔を見合わせる。
社長は、マイクの前に立った。
「智也くん、雪ちゃん、結婚おめでとう。
同期入社の2人の結婚ということで、
ここには我が社の社員が大勢座って
おります。
その彼らに、今日、初めて明かしますが、
実は、雪菜は私の姪です。
社内では特別扱いはしていないので、
知ってる人間はほぼいませんが。
これからも智也くん共々、特別扱いする
ことなく厳しく接してやってください。」
社長のスピーチはまだ続いているが、私たちはそれどころじゃなかった。
お互い顔を見合わせて、話したいことがたくさんあるのに、社長スピーチ中の披露宴会場で口を開くことが出来ず、悶々としていた。
乾杯を終えると、私たちは堰を切ったように話し始める。
「知ってた?」
芹那の問いに、私たちは揃って首を横に振る。
「社長って、子供いなかったよね?
まさか、智也が次期社長だったりする?」