恋傘
2人並んで歩きながら、いろんな話をした。
学校のこと、友達のこと。
次、早希に会えるのはいつだろうか。
偶然じゃなくても、他の友達がいなくても、早希に会いたいと思う。口実なんかなくても会える立場がほしい。
今伝えようと心のなかで決める。
「なぁ、早希?」
「なに?」
「俺、早希に会ったら言いたい事があったんだ。」
「言いたいこと?」
早希が不思議そうに見上げてくる。
「次、いつ会えるかわからないから、今言う。」
足を止めて早希に向き合う。
「早希が好き。だから、付き合って。」
早希はびっくりしたように目を丸くしたあと、嬉しそうに微笑む。
「私も明宏が好き。」
傘の中で彼女の声が響く。
聞いたことがないほど優しく甘く。