恋傘

「あれ?早希?どうした?」
懐かしい思い出に耽っていると、突然声をかけられた。見ると、明宏が知らない男の子と一緒にいる。
「明宏?」
私の様子を見た明宏が、私の状況を覚ったらしい。
「わりー。俺こいつと帰るわ。」
「え?明宏の彼女??」
「うるせーよ。じゃぁな。」
「おぅ、また明日。」
話に入る隙もなく、会話がまとまる。

「友達……よかったの? 」
彼女?って聞かれて否定もしてなかった………
「大丈夫だよ。傘ないんだろ。」
「あ、うん。」
「ちゃんと入れよ。ほら、行くぞ。」
彼は当たり前のように私を傘にいれた。

「なんか、懐かしいな。昔も一緒に帰ったよな。」
そう響く声は昔の声とは違う。
「懐かしいね。」
昔とは違うけれど、優しく響く。
明宏が覚えてくれてることが嬉しい。

やっぱり好きだなぁ。
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