恋傘
『明宏目線』

外を見ると雨が振りだしていた。

雨か。。。

ふと、懐かしいことを思い出す。


小学生の頃。

あの日、忘れ物を取りに学校に戻ると雨が降りだした。ちょうど置き傘もあったし、もう少し降りだすのが遅ければ濡れながら帰るところだった。

傘をさして家までの道を歩く。

ふと、民家の軒下で困ったように空を見上げる女の子が目に入った。

あの子は………岡本早希
同じクラスの女の子………ひそかに気になってる子。

「どうした?」
何気なく、声をかける。

「傘持ってなくて。」
「入っていけよ。一緒に帰ろ。」
「ありがとう。」
ふわっと笑った顔がとてもかわいかった。

2人並んで歩きながら、いろんな話をした。
友達のこと、飼ってる猫のこと、流行りのアニメの話……なによりも、傘の中で響く彼女の声がかわいくて、ずっと聞いていたいと思った。
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