恋傘

「明宏帰らねぇの?」

高校で新しくできた友達の智基に声をかけられる。
ずいぶんぼーっとしていたらしい。

「帰る。」
手短に返事をし、智基と一緒に教室を出る。

「お前がぼーっとしてるの珍しいな。」
「そーか??」

適当にごまかす。好きなやつのことを考えてたとか言えるわけない。適当に話題を変える。

「そーいえば、傘の中だと声がきれいに聞こえるらしいよ。」
「へー。そうなんだ。なんでだろ?」
「傘で反響するとか?」
「それなら、日傘でもいいのか?雨なら湿気とか??」
「わかんねー。」
「ほんとにきれいに聞こえるか試してみるか?」
「やだよ。濡れたくねぇし、お前の声聞いてもきれいかどうかわかんねぇよ。」

あーでも。
あのときの早希の声はかわいかったな。。





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