夜明け3秒前
「あ!」
流川くんが急に大声を出すから、体がビクッと跳ねる。
似たようなことが前にもなかったっけ、と頭の片隅で考えてしまう。
「せっかく凛月に飲んでもらおうと思ってコーンスープ入れてきたのに、忘れてた」
視線がトレーに置いたままになっているマグカップへと向く。
彼は手に取ると、そっと優しく渡してくれた。
「ありがとう」
「どーいたしまして。ちょっと冷めちゃったかな」
こくんと一口飲むと、私の好きな優しい味がした。
やけどしないけれどまだ温かい、いい温度だ。
「……美味しい」
「よかった。もう体調も大丈夫そうだな」
そう言われて、頭がくらくらしていないことに気がついた。
それどころか、1人だとあんなに苦しかったのに、今では少し息が吸いやすいと感じるくらいだ。
彼が話を聞いてくれると言ってくれたから?
彼だって悩んでいることがあると知って、ほっとしたから?
それとも、今彼がそばにいてくれているからかな。
もしかしたら全部かも。
今なら話せるかもしれない。
少なくともさっきよりは心も落ち着いている。
まだ中身が半分くらい残ったマグカップをそっと置く。
小さく深呼吸して、手をぎゅっと胸の前で握る。
「……えっと」
「うん」
彼は優しい声で相槌を打ってくれる。
息を吸って声を出す。
「……最近、酷い夢ばっかり見るの」
少し声がかすれてしまった。
手が震える。
「夢、だけど……現実にあったことだから、苦しくて……家にいたときより眠れているはずなのに、なんだか休めている気がしなくて……」
思い出すと、治ったはずの傷が痛む。
「そしたら次は食欲がなくなって……清さんの料理は美味しいのに、食べられない自分が嫌で……清さんにも申し訳なくて、でもどうすることもできなくて、辛かった」
思っていたことを口に出して誰かに話すというのは、結構勇気がいる。
流川くんは「そっか」と言って、静かに話を聞いてくれていた。
流川くんが急に大声を出すから、体がビクッと跳ねる。
似たようなことが前にもなかったっけ、と頭の片隅で考えてしまう。
「せっかく凛月に飲んでもらおうと思ってコーンスープ入れてきたのに、忘れてた」
視線がトレーに置いたままになっているマグカップへと向く。
彼は手に取ると、そっと優しく渡してくれた。
「ありがとう」
「どーいたしまして。ちょっと冷めちゃったかな」
こくんと一口飲むと、私の好きな優しい味がした。
やけどしないけれどまだ温かい、いい温度だ。
「……美味しい」
「よかった。もう体調も大丈夫そうだな」
そう言われて、頭がくらくらしていないことに気がついた。
それどころか、1人だとあんなに苦しかったのに、今では少し息が吸いやすいと感じるくらいだ。
彼が話を聞いてくれると言ってくれたから?
彼だって悩んでいることがあると知って、ほっとしたから?
それとも、今彼がそばにいてくれているからかな。
もしかしたら全部かも。
今なら話せるかもしれない。
少なくともさっきよりは心も落ち着いている。
まだ中身が半分くらい残ったマグカップをそっと置く。
小さく深呼吸して、手をぎゅっと胸の前で握る。
「……えっと」
「うん」
彼は優しい声で相槌を打ってくれる。
息を吸って声を出す。
「……最近、酷い夢ばっかり見るの」
少し声がかすれてしまった。
手が震える。
「夢、だけど……現実にあったことだから、苦しくて……家にいたときより眠れているはずなのに、なんだか休めている気がしなくて……」
思い出すと、治ったはずの傷が痛む。
「そしたら次は食欲がなくなって……清さんの料理は美味しいのに、食べられない自分が嫌で……清さんにも申し訳なくて、でもどうすることもできなくて、辛かった」
思っていたことを口に出して誰かに話すというのは、結構勇気がいる。
流川くんは「そっか」と言って、静かに話を聞いてくれていた。