夜明け3秒前
やっと解決……まではいかなくても、落ち着いたと思ったのに。
次はまさか、彼のことでこんなに悩むことになるなんて思わなかった。


私が変だって絶対気づいているだろうけれど、前みたいに心配されない。
それどころか最近流川くんは上機嫌だ。

そのせいかはわからないけれど、距離も前より近い気がするし……
きっと少し前までだったら気にならなかった。

やっと近い距離に慣れてきたと思ったのに、これじゃ逆戻りだ……
だけどこの気持ちは全然収まらないし……


一体どうしたらなおるんだろう……


「凛月さん、ダメかな?膝が痛くて階段を上るのが辛くてね」


名前を呼ばれてはっとする。
清さんの頼みを断りたくはないけれど……


「えーっと……でも、勝手に私が流川くんの部屋に入るのは……」


絶対嫌だと思うし、なんだか気が引ける。
流川くんはあとどれくらいで帰ってくるんだろう……


すっごく申し訳ないけれど、彼自身に持って行ってもらうしか……


「大丈夫大丈夫!ちょっと入ってポイっと置いてくれたらかまわないよ。それに勝手に入ったくらいで怒りはしないから」


楽しそうに笑って、すまないけど頼んだよとカゴを渡される。
中身は綺麗にたたまれた洋服だった。


「わ、わかりました」
「ありがとう」


結局断れずに、トントンと階段を上っていく。
カゴからは洗濯して太陽の光を浴びたんだろう、いい匂いがする。

って、ダメ!
この匂いを嗅いだら、どうしても抱きしめられたこと思い出しちゃう……!

ぐっと息を止めて流川くんの部屋まで走った。
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