夜明け3秒前



「……あ」

麻妃との電話が終わって美味しい夜ご飯を食べ、お風呂から上がったあと。
リビングのソファーで流川くんが勉強をしているのを見つけた。


「……ん?凛月、どうかした?」
「あ、ううん。勉強?」


てくてくと彼のそばまで近づく。
すると私も座れるよう横に移動してくれて、座りなよと言うかのように、ぽんぽんとソファーを叩く。

お邪魔します、と心の中で言いながら遠慮なく座らせてもらった。


「うん。課題も終わったし予習してたんだけど、キリもいいし終わろうかな」

「えっ、ご、ごめん。邪魔しちゃったよね」


慌てて言うと、彼はいつもの笑顔を浮かべながら首を振る。


「もともとやめようと思ってたから。それに、凛月と話したいし」

「そ、そっか。それは嬉しい、です」


眩しい笑顔を向けられて、タジタジになりながら言葉を返す。
緊張はするけれど、それが何故なのかもう理由がわかっているから、必要以上に困らない。


流川くんのことが好きだと気づいてから、逆に開き直ることができたというか……

避けるようなことはなくなったし、前よりは普通に話せるようになった。

それでも彼は今みたいによく心臓に悪いことを言うし、近い距離には慣れないしで大変だけれど……


でも、やっとモヤモヤしていたことがなくなってスッキリした。
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