夜明け3秒前
海に足をつけて遊んだあとは、すぐそばにある海の家に来ていた。
さっきまで直射日光を浴びて暑かったけれど、今は屋根があるおかげでさっきよりも涼しい。


海の家の外観ってすごくおしゃれだ。
それに、初めて来たのに懐かしく感じるのはどうしてなんだろう。


ここ落ち着くなあ……
ふぅーっと息を吐いてリラックスする。


「凛月、何か食べる?」
「うーん、そうだなあ……」


壁に掛けてあるメニューを見ると、たくさんの商品があることがわかる。
どれも夏!って感じだ。


その中でも特に夏を感じるメニューを見つけてしまった。


「私かき氷食べたいな」
「お、いいな。俺もそれにしよ」


流川くんと2人で並んで注文すると、すぐに商品ができあがった。
私はいちご、流川くんはブルーハワイ。

店員さんがシロップをたっぷりかけてくれたおかげですごく美味しそうだ。


挨拶をしたあとに、スプーンストローですくって一口食べる。
わあ、冷たくて美味しい!

口に入れたらすぐに溶けてしまうけれど、このシロップが美味しくて口が緩んでしまう。


「あー、生き返るな」

「ふふ、うん。暑い中で食べるかき氷ってやっぱりいいね」


流川くんと話しながら食べていると、

「ねえそれ一口ちょーだい」
「はいあーん」

目の前に来たカップルが急にいちゃつき始めて思わず固まる。


私たちと同い年か年上ぐらいかな。
今にもキスしそうな距離でラブラブしていた。


なんだか見てはいけない気がする……!


勝手に気まずくなっていると、自分もさっきは似たようなことをしていたのを思い出してもっといたたまれなくなった。


視線をどこに向けたらいいのかわからなくてきょろきょろしていると、流川くんと目が合う。
彼も私と同じようなことを考えているのか耳が少し赤い。


「あー……あっち空いてるし、移動する?」
「う、うん!そうしようっ」


わああ、この変にドキドキして熱いのも全部、かき氷で冷やされてくれればいいのに……!


熱に浮かされて唐突に頭に浮かぶ。
もし、もしも私が流川くんと恋人同士になったら。

さっきの人たちみたいなことをしたりすることもあるのかな。
抱き合ったり、一緒のベッドで寝たり……キス、したり。

自分のことながらちょっと気持ち悪いことを考えている気がする……
でも、もしそうなったら……なんて。

私、どんどん欲張りになっている気がする。
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