夜明け3秒前
「ごめん、冗談だよ」
「えっ……!?」


冗談と言われて、そういえば前も同じ質問をされたのを思い出した。
そのときも真剣に考えたのに、冗談だよと言われた気がする。


「し、心臓に悪いよ……!」

「うん、ごめん。どうしても妬いちゃってさ。子どもっぽいことした」


やく……?
一体何をと思ったけれど、質問をする暇もなく彼は自分の部屋の扉を開ける。


「ゆっくり休んで」
「う、うん」


流川くんはそれだけ言うと部屋に入ってしまった。


「はああ……」


さっきとは違い思いっきりため息を吐いて手で顔を覆う。
びっくりした、まだ心臓がドキドキしてる……


流川くんはすごく優しいけれど、ちょっとだけ意地悪なところがある、と思う。

なんだか乙女心をかき乱された気分……
いや恋心、なのかな。

どっちでもいっか、心がバタバタしたのに変わりはないし……


「お風呂入ろう……」


そしてリラックスしよう。
私もガチャっと扉を開けて部屋に入った。
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