夜明け3秒前
「……うーん」


大浴場でさっぱりしたあと、明日の用意をして布団に入った。
でも全然眠れない。


布団の中に入って何時間もごろごろするの、久しぶりだな。
コテージでは眠れていたし、悩んでいた時も夢を見るだけであって、割とすぐに寝れていたのに。


この一か月間あったこと、そして明日には家に帰ることを考えると目が冴えてしまう。


今何時だろう……
携帯で時刻を確認すると、もう2時を過ぎていた。


ちょっと外に出て気分転換しようかな……
このままベッドにいても眠れそうにないし……


重い体を起こして、貴重品だけ持って部屋を出る。
忘れないようにちゃんと鍵を閉めて、静かな廊下を歩く。



気の赴くままにしばらく歩いていると、テラスのような場所があった。
昼間とは違い、真っ暗な海が見える。


潮風が気持ちいい。
すぐそばに座り心地のよさそうなベンチを見つけて腰を下ろした。


……旅行、楽しかったなあ。
来れて本当によかった。


ぼーっとしながらそんなことを考えていると、人が歩いてくる足音がした。


「……え、凛月?」


声をかけられて振り向くと、流川くんが立っていた。
< 167 / 192 >

この作品をシェア

pagetop