夜明け3秒前
『じゃあ、2人で逃げようか』

この言葉の通り、彼は私と逃げてくれた。
私を連れ出してくれた。


だけど逃げ続けることが苦しくなって……
だから、辛いこと全部、一緒に背負って戦ってくれた。


……ずっと、そばにいてくれた。


学校が始まれば、またいじめを受けるかもしれない。
家に帰れば、また痛くて苦しい思いをするかもしれない。


それでも立ち向かう勇気を、君がくれたから。



「流川くん。私を旅行に連れて行ってくれて本当にありがとう。私……旅行にこれてよかった!」


この言葉に、精一杯の感謝と気持ちを込めて。
自分のことながら、いい笑顔で言えたと思う。


それくらい素敵な毎日だった。


流川くんは虚を突かれたような顔をしていたけれど、すぐに笑顔に変わる。


「凛月にそう言ってもらえてすげー嬉しい。俺の方こそありがとう」


そう言ってくしゃっと笑う流川くんは、やっぱりすごく綺麗で。
ああもうすっごく好きだなあって思って。


だから。


「好き」


って思わず気持ちが、声がもれてしまった。
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