夜明け3秒前
「じゃあ……俺と付き合ってくれる?」
「う、うん……私で、よければ」
「はは、凛月じゃないとダメなんだよ」


働かない頭で彼の言葉に返事をしていると、ナチュラルな感じでそう言われて心臓が跳ねる。


「ま、待って流川くん!私今……ドキドキして消えちゃいそうだから」

「ええーなにそれ。すっげーかわいい」

「る、流川くん!」


心臓がドキドキするようなこと言わないでほしいのに、すっごく喜んでいる私もいていっぱいいっぱいだ。


こういうときどうしたらいいのかわからず困っていると、

「あー、やばい……すげー嬉しい」


と声が聞こえてびっくりした。


流川くんは幸せを嚙みしめた表情で笑っていて、本当に私のこと好きでいてくれてるんだ、とふと思う。


「……どうして、私のこと好きなの?」


最大の疑問をぶつけると、彼はあははっと声を出して笑う。


「そりゃ理由はたくさんあるけど。かわいいとこ、意外と直球なとこ、人のことを褒めるとき躊躇いがないこと、あとは――」

「ま、待って!もう大丈夫!伝わったからっ、ありがとう!」


まさかこんなにスラスラと述べられるなんて思ってもいなくて慌てて止める。
彼は「まだまだあるのに」と言っていたけれど、私的にはもう十分すぎた。
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