夜明け3秒前
「……っ」
耐えられなくてぎゅっと唇を噛む。
そうしないとここで号泣してしまいそうで。
「……おじいちゃん、おばあちゃん、お世話になります」
勢いよく頭を下げる。
祖母の足が見えたと思ったら、優しく背中を撫でてくれた。
「いいの、いいのよ全然。さ、ほら準備して?準備ができたらすぐ行きましょうね」
優しい声に泣きそうになる。
うん、と頷いて自分の部屋に向かった。
旅行に行って帰ってきて、そのあとすぐに家を出ることになるなんて。
あははびっくりだ、麻妃に言ったら笑われちゃうかな。
「……」
自分の部屋の扉を開けて入る。
ずっと変わらなかった私の部屋。
長期間あけていたせいで、ひどく懐かしく感じる。
「……ふ、ふ」
このベッドも、カーテンも机も椅子も。
思い出でいっぱいだ、私にとって大切だった。
「……ふ、う……うっ、うう……」
ぽたぽたと涙が落ちる。
我慢しているのに声が出て、それを抑えようとしてすごく苦しい。
どうして、どうして何も言ってくれなかったの。
私の何がいけなかったの。
私はそんなに兄妹たちと違った?
愛される資格もないまま生まれた?
嘘だったらよかった、全部。
私を産んだことも、こうして育ててくれたのも、高校に通わせてくれたのも。
なんだかんだ私の分のご飯をつくってくれるのも、料理を教えてくれたのも、優しくしてくれた記憶も全部。
普通じゃなくても、私にとってはたまらなく嬉しいことで、幸せだった。
『愛されてなかった』とわかっても、この思い出があるから余計に苦しい。
大嫌いで大好きだった。
私の唯一無二の家族だった。
耐えられなくてぎゅっと唇を噛む。
そうしないとここで号泣してしまいそうで。
「……おじいちゃん、おばあちゃん、お世話になります」
勢いよく頭を下げる。
祖母の足が見えたと思ったら、優しく背中を撫でてくれた。
「いいの、いいのよ全然。さ、ほら準備して?準備ができたらすぐ行きましょうね」
優しい声に泣きそうになる。
うん、と頷いて自分の部屋に向かった。
旅行に行って帰ってきて、そのあとすぐに家を出ることになるなんて。
あははびっくりだ、麻妃に言ったら笑われちゃうかな。
「……」
自分の部屋の扉を開けて入る。
ずっと変わらなかった私の部屋。
長期間あけていたせいで、ひどく懐かしく感じる。
「……ふ、ふ」
このベッドも、カーテンも机も椅子も。
思い出でいっぱいだ、私にとって大切だった。
「……ふ、う……うっ、うう……」
ぽたぽたと涙が落ちる。
我慢しているのに声が出て、それを抑えようとしてすごく苦しい。
どうして、どうして何も言ってくれなかったの。
私の何がいけなかったの。
私はそんなに兄妹たちと違った?
愛される資格もないまま生まれた?
嘘だったらよかった、全部。
私を産んだことも、こうして育ててくれたのも、高校に通わせてくれたのも。
なんだかんだ私の分のご飯をつくってくれるのも、料理を教えてくれたのも、優しくしてくれた記憶も全部。
普通じゃなくても、私にとってはたまらなく嬉しいことで、幸せだった。
『愛されてなかった』とわかっても、この思い出があるから余計に苦しい。
大嫌いで大好きだった。
私の唯一無二の家族だった。