夜明け3秒前
ふと目が覚めると、短い時計の針が7を指していた。
思っていたよりも長く眠ってしまっていたらしい。


カーテンを開けたままの部屋は、月明かりが射していた。
家の中は思った以上に静かだ。

少なくとも怒った母が暴れていることはなさそうで安心する。


……たくさん寝たからお腹空いたなあ。


ご飯を食べにリビングへ行こうか……
でも、きっと母に会うことになる。


……ダメだ、体だけじゃなく心まで重い。
ベッドから出るのがすごく億劫だ。


……もう!頑張れ私!
明日麻妃に会うって決めたんだから!


いつまでもこんな調子じゃ、一生仲直りなんてできない。
大切な友達だから、こんな私を大切にしてくれた人だから。


ちゃんと会って話すって決めたんだから!
さっきまでのモヤモヤじめじめした気持ちを振り払うように、ベッドから勢いよく出る。


自分のネガティブな気持ちに勝った気がして、そしてそれが初めてできた気がして、少し嬉しい。


その勢いのまま部屋の扉を開け、リビングへと向かった。
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