夜明け3秒前
「はあ……」
思い出すだけでも痛い。
どうして弟をかばったんだろう。
私がああやって怒られているときに、一度でも家族の誰かに助けてもらったことはあっただろうか。
いつも痛い思いをするのは私だけ。
……なんて、そんな風に考える自分さえ嫌になる。
だけど、弟が母に叩かれるのを守れてよかった。
クラスメイトの子たちが見ていたら、「偽善者乙」って言われそうだし、正直私自身も思っているけれど。
でも、"弟"を助けることができてよかったと心の底から思う自分もいて。
ただ、今日の母がどうなっているかは不安だ。
弟に手を出そうとしたのが昨日だけだったらいいけれど……
傷だらけの体を隠すように服を着て、リビングへと向かう。
静かに扉を開けると、母と妹弟がいた。
「昨日は本当にごめんなさいね光輝。お母さん頭に血が上っちゃったみたいで、許してくれる?」
昨日の怒りが嘘のような甘い声で許しを請う母。
弟は顔が引きつってはいるけれど、うんと頷く。
「ありがとう光輝、貴方は本当にいい子ね、優しい子だわ」
にこにこと微笑んで、優しく抱きしめ頭をなでる。
私は全部してもらったことがない。
まるで映画を見ているような感覚だ。
だけどこれでひとまず安心できる。
扉を閉めようとすると、ぱちっと妹と目が合う。
でもすぐに逸らされて、気にせず扉を閉めた。
思い出すだけでも痛い。
どうして弟をかばったんだろう。
私がああやって怒られているときに、一度でも家族の誰かに助けてもらったことはあっただろうか。
いつも痛い思いをするのは私だけ。
……なんて、そんな風に考える自分さえ嫌になる。
だけど、弟が母に叩かれるのを守れてよかった。
クラスメイトの子たちが見ていたら、「偽善者乙」って言われそうだし、正直私自身も思っているけれど。
でも、"弟"を助けることができてよかったと心の底から思う自分もいて。
ただ、今日の母がどうなっているかは不安だ。
弟に手を出そうとしたのが昨日だけだったらいいけれど……
傷だらけの体を隠すように服を着て、リビングへと向かう。
静かに扉を開けると、母と妹弟がいた。
「昨日は本当にごめんなさいね光輝。お母さん頭に血が上っちゃったみたいで、許してくれる?」
昨日の怒りが嘘のような甘い声で許しを請う母。
弟は顔が引きつってはいるけれど、うんと頷く。
「ありがとう光輝、貴方は本当にいい子ね、優しい子だわ」
にこにこと微笑んで、優しく抱きしめ頭をなでる。
私は全部してもらったことがない。
まるで映画を見ているような感覚だ。
だけどこれでひとまず安心できる。
扉を閉めようとすると、ぱちっと妹と目が合う。
でもすぐに逸らされて、気にせず扉を閉めた。